君と僕明るめ短編

うーわー……



「悠太ーあーん」

「………あーん…」

「おいしい?」

「うんまあ。いつも通り」

「いつも通りおいしいって」

相変わらず都合の良い耳をしているんだな祐希は。

今はお昼休み。
いつものメンバーでご飯を食べている。
ただ違うのは、オレが祐希の足の間に座っていて、後ろから祐希に抱きしめられさらに、お弁当を食べさせてもらっているだけ。
いや、だけなんて言いたくないんだけど、少しでも軽く聞こえるようにね。

「あの、祐希くん……そういうのは…家で…」

「悠太あーん」

聞いてない。
春の精一杯の勇気を華麗にスルーですか。
しょぼくれてますよ可哀そうですよ春が。

まあ、オレもオレで祐希のされるがままになっているんだけど、こういう時下手に抵抗なんてしたら何されるか分かったもんじゃない。
みんなが見ている中でキスなんて御免だし、体を触れられるかもしれない。
公開プレイはさすがにないだろうけど。

「…………(いらいら)」

「………」

要はイライラしすぎて眉間に皺が寄っている。
ああ、後で殴られちゃうよ祐希。
オレも殴られちゃうかな。
千鶴はもうこっちを見ていない。
だけど耳を真っ赤にしているところを見ると、何か恥ずかしくて見れないんだろう。
オレもすごく恥ずかしいんだけどね。

「悠太。口開けて?」

「あーはいはい」

「きゃー悠太かわいい!」

誰かこの子を止めて下さい。

ため息と共に口を開けて、もぐもぐとお母さんのお弁当を食べるオレだった。



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