君と僕明るめ短編

(テニス)映画


「悠太。映画行こう」

「…へ?」

「いや、だから映画ですよ」

ある日の平日、俺が部屋で勉強をしていたら祐希がそう言ってきた。
あーデートか。
まあ、祐希にとっては長年の片想いからようやく両想いになれたんだから、そういうことをいっぱいしてみたいのかな。

「行こう」

「うーん…いつ?」

「今週の日曜日は?」

「空いてる…けど…」

「じゃあ行こう」

どこがいいかなーなんていいながら、新聞とってくるねと、ばたばたとリビングへ行ってしまった。

どうせアニメ映画なんだろうなと思い、マイナーなやつは避けてほしいと思った。


*********

「悠太すごかったね」

「うんまあ」

祐希が選んだ映画はアニメだったけど有名なやつだった。

「実際さ、テニスであんなプレイができるのかな?」

「できるよ。理論上ではね」

「ふーん」

はっきり言ってオレはついていけなかった。
すごいなあ。
としか思わなかった。
キャラクターだって、帽子かぶった小さい子と、にこにこ笑っている美形と、眼鏡かけてるやたら大人っぽい人と、なんかお金持ちっぽい人ぐらいしか分からなかった。
もちろん名前は知らない。

「悠太。つまんなかった?」

「ううん別に。すごかったよ」

でもつまらなくはなかった。
まあ、呆気に取られたし、テニスってこんなに危ないものだったっけ?
とは思ったけど、退屈はしなかった。


隣で興奮気味だった祐希を見るのも楽しかったし。

「良かったー」

「祐希は?どうだった?」

「DVD1こ買うか2こ買うかで迷ってる」

………ふーん。
2こも買ったら万いくだろうな。
祐希そんなにお金持ってるの?

「悠太ー。グッズ見ていい?」

映画館内の少しすみ際に、グッズショップがある。
まだうんとも何も言ってないのに、祐希の足がそちらに向かっているのを見て、これは答えが決まっているのも同然だった。

「別にいいよ」

「ありがとう。…………悠太も一緒に来て」

「え?」

オレ買うものないんだけどな。


×
−−−−−−−−
なんの映画かは分かる人は分かると思います。
10周年記念ですよね。
転んだだけで骨折とかしますし、テニスボールが何発か当たれば骨折もするする。

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