君と僕明るめ短編

そんなの(要悠)

「じゃ、オレスーパーに用事あっから」

新年早々運がないと思っていたが、日ごろの行いが良い所為か知らんが

母さんマジでありがとう。

「じゃはいはいはい荷物持ち!荷物持ちでつれてってー!」

春はさすがというべきか、他の3人は図々しく荷物持ちとかなんとか言ってくる。
つか、んないっぱいいるか!!
なんだこの消去法でしか決められねえ選択肢。

まあ、もちろんオレは悠太を選んだが。

あいつら日ごろの行いは悪いし、連れてっても祐希は何だかんだ言ってはぐらかしてとんずらするだろうし、子ザルは落として中のものぐちゃぐちゃにするだろうから、すぐに選択肢から外した。






「要ありがとうね」

「あ?」

「選んでくれて」

「あたり前だろ。あの二人にどれだけ日々ストレスをもらっているか知ってんだろ」

スーパーまでの道のり、まさか悠太とこういうふうにいられるなんて思いもしなかった。
さっきは消去法なんて言葉を使ったが、本当は悠太って決めていた。

いつもは祐希が悠太にまとわりついて(子ザルが来てからだいぶ悠太から離れたが)二人きりなんてそうそうあるもんじゃない。
だからこんなチャンス逃してたまるかと思った。

「要、もしかして……本当に消去法で選んだの?」

「は?」

少し沈んだ雰囲気がしたので、隣を見てみたがいつもの無表情。
目が合うと悠太はすぐにそらした。

「いや、オレはその………あ、何でもないです」

もごもごと歯切れの悪い声。
少し動揺しているようだった。

………ほおー。

無言でオレは悠太を体ごとこっちへ向かせた。

「?要、どうしたの」

当然のようにオレにぶつける疑問。
でもオレはそれに答えず。


唇をあわせた


離すと、目を大きく開いた悠太がこっちを見ていた。
いや、おそらく頭がとんでいるのだろう。

「…………初めからお前を選んでたよ」

「……………え?」

公共の場というのはオレも知っている。
でもそんな時もたまにはあるだろ。


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