君と僕明るめ短編

工作(悠祐)

ふとしたひょうしでボクは、悠太の夏休みの工作を壊してしまった。
でもわざとじゃない。
悠太が机のすみっこに置いておくのがいけなくて…。


ぱっくりふたつに割れたもの、たったそれだけだけど、もう何の作品かわからなくなっている。

「ゆうた、怒っちゃうかな」

今日が夏休み最終日、一から作り直すのはもう無理だろう。
直すことならできるかもしれないけど……

どうやって?

ただのテープじゃすぐに剥がれちゃうだろうし、見た目だってかっこ悪くなるだろうし…。

「……う、う…」

どうしよう。

ゆうたに嫌われちゃうかもしんない。
ゆうきのバカとか言われちゃうかもしんない。
もしそれでゆうたがボクに口を聞いてくれなくなっちゃったら…。

「ゆうき?」

部屋のドアが開く音がして、突然ゆうたが入ってきた。
反射的に涙を服の袖でぬぐって、下を向いた。
ゆうたは不思議そうにボクの顔を覗き込んできた。
ボクの足元に落ちている作品を見て、ああ、とだけ言って出ていってしまった。

怒った?
怒っちゃった?

どうしよう、こういう時ってなんて言うんだっけ?
ごめんって言ったら許してくれるかな?
でも、謝ったって…もう明日には間に合わないし…。

たったったっ、と足音がする。
ドアのほうを振り向くと、悠太がボンドを片手に戻ってきた。

大丈夫だよ。
そうボクの頭をぽんぽんとなでて床にひざまずく。
片方の割れ目にボンドをぬって、ぴたっとくっつけた。

「ね、これで元通りだよ」

ボクの前にそれをかざす。
割れ目なんてもう、その箇所を知っている人にしか分からなくなっていた。

「だから泣かなくていいよ」

そう言って、涙をふってくれた。
少し微笑んだ顔。
ほわって体の中があったかくなって
作品が壊れないように、きゅうってゆうたに抱きついた。

「ゆうた、ごめん…ね」

「気にしてないよ」

よしよしと、背中をなでてくれる手があたたかかった。


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