君と僕明るめ短編

いちばん


いつまでも、悠太の一番になりたい。

魔法のランプ、トライフォース、短冊、流れ星。
そうずっと願ってきた。


お母さんといつだったか話したことがある。
お母さんは、一番初めは両親が大事だったけど、次は友達が大事になって、お父さんが大事になって、今は子供、つまりオレと悠太が大事らしい。
オレはお母さんの大事な人が自分だということより、時間が経てば人は大事な人が変わるということのほうが気になった。

オレは悠太が一番大事。
でも悠太はどうか知らない。
聞いてみたら今のところ祐希だよって言われた。

悲しくて、悠太に抱きついてしまった。


「お、っと…どうしたの?祐希」

「……ずっと今の悠太だったらなあ…って…」

「何?」

「オレのことが一番大事だって言ってくれる悠太がいいなって…」

「だったらいいじゃん。オレ祐希が一番大事だし」

「ううん………ちがう…」

「何が?」

悠太は分かってない。
きっといつか、悠太はオレから離れていっちゃう。
だってオレたち…男同士だし…双子だし…。
誰かにばれちゃったら、親とか、親戚とか、近所の人とか、見知らぬ他人でも……知られちゃったら終わりの、秘密の関係なんだもん…。

「オレは悠太が一番だからね。ずっとずっと絶対変わらない、のに…」

「のにって?」

「悠太は変わっちゃうでしょ…?」

最後のほうは声がしぼんじゃって何言ってるのか分からなくなっちゃったけど、前半部分が聞き取れればオレの言ってることは理解できると思う。
悠太…。
と小さく呼んで、ぎゅうっとまた抱きしめる。

「どこかに閉じ込めちゃえれば……悠太の一番はずっとオレなのに…」

「…………」

現時点で会った人の中でオレが一番というなら、これからもう新しい人に出会わなければ、一番はずっとオレということになる。

オレの願いは叶う。

「祐希…オレの言い方が悪かったよ」

「……っ…?」


ふに


と、ほっぺたに感触


え?と思って悠太を見れば、ふわりと笑って答えてくれた。

「いつまでも、祐希が一番だよ」


その顔が
嘘なんかついてないってことが分かって…


「……ほんと?」

「うん」

「絶対?ぜっ〜たい?」

「絶対」

もう一度

今度は唇にキスをされて


何だか誓いのキスみたいで、くすぐったかった。



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